乳液
ある新刊を読んだ。帯の文句に腹をたてる。そういうことではないんだ、確かにそう書いた方が売れやすいだろうし目を惹くのかもしれないけど本質はそこではない。もっと違うところにこの話はあるのに。などと、思った。
ゆっくりと、一言一言を噛み締めないと読めない本。
自分だけのものにしておきたい気持ち、私の場合は、というか一般的にもそうなのかもしれないけど悲しいことが多い。
怒りや、憐憫や、辟易や、たぶんベン図にしてみれば広めの面積で重なっちゃうような気持ちを全てひっくるめて途方も無い深い青黒のように固めてしまった感情がある。それは私にしか理解できないし、その感情により悲しむ権利も私だけが享受できるものだ。
そういった気持ちや出来事を共有しないこと、分かち合わないこと、持ち合わせていることをまるごと許容された気がする話だった。
漫画だから、彼女の奥底のそういう気持ちや出来事をこれから覗き見してしまうのかもしれない。それすらも憚られるような。
行ったことのなかった神社へ行った。
街路樹が全て楠で暗くなるとライトもついて綺麗だった。ただ、御手水がすごく冷たくて指先から順に凍えた。
今年ももうすぐ終わる。