お釣り

ピザを食べた。

会社のご厚意で、仕事がまだ山のように残っている中、残業中に、悪過ぎる段取りの中、冷めきったピザを目の前に、飲み物を買い出しに行ってる人を待ち、中々帰ってこないから皆一旦仕事に戻ろうとしたタイミングでその人は帰社して、また全員揃ったところでようやく、お通夜のような雰囲気の中、冷めきってカチカチになったピザを食べた。

上司の目を盗みながら方々から愚痴が聞こえる。なんで今?なんで今日?なんで準備が終わってから召集しないの?本当にイライラする、親切の押し売り、なんにもわかってない、等。

一言一句違わずその通りだと思う。残業代も出ないのに、なぜ終業後にピザ待ちの時間が発生しているのか。

お通夜状態に耐えきれず、隣の男性社員が口を開く。自分、学生時代ジョリーパスタでピザ焼いてたんですよ。へえ、そうなんですか。無言。

 

ヘイトが溢れる空間は苦しい。

ピザを用意した上司も、親切心からやっていることなのだから。今月残業続きで疲れてる社員を労おうとピザを用意させたのだ。早めに切り上げて帰ろうとしている社員がいたから、その前に早めに召集をかけたのだ。皆で他愛もない会話でもしながらリフレッシュするために全員揃ってから食べることにしたのだ。なにも皆をイライラさせるためにピザを用意したのではない。その根底の気持ちはやさしいはずなのに、こんなにも裏目に出るものだろうか。

そういうの、が結構苦手で、誰かを想ってしたことが迷惑がられている状況が悲しい。

綺麗事かもしれないけど。実際私も段取りの悪さにはイラっとしたし。だけど、その気持ちだけは受け取りたい。

社会に出てからキツイこと、結構あるけど、ずっと誰かにヘイトを向けていなければいけないことが1番キツイかもしれない。矛先が自分に向くのも辛いけど、誰かに向けることも同じだけ辛い。ヘイトに鈍感に居られればいいのになあ。